3月17日
人間が虫を殺すことよりも、たぶん神様が人間を殺すことは簡単なことなんじゃないのか。
神様は何かを生かしもするし、殺しもする。
一瞬でできるんじゃないのか。
心のきれいなあの人たちが30になる前に死んで、わたしみたいなのがずっと生きてる。
なんのわけがあってこの世界にいる?
柵がない駅のホームがこわい。
あっちの世界がみえる。
身体を物理的に捨てれる方法が目の前にあるのに、誰もそれをしない。
それが正しいから誰もしない。
恥ずかしいことだから誰もしない。
誰かがしたから正しくなるわけでもない。
普遍的な正しさとして、黄色い線の向こう側が呼んできてもそっちに行ってはいけないという命題があるように感じてくる。
命題を切り捨てられるほど、自分の身体を粉々にできるほど、自分には覚悟ができていないと感じる。
神様が本来決めることに立ち入る勇気がない。
神様を信じているから。
死んではいけないと反復する。
地面に何度も打ち付けられる縄跳びのようだ。
毎日同じ薬を飲み続けている。
今日も薬をもらうために病院へ行く。
二週間に一度の面談で「なにも変わりはありません」と言い続けている。
絶対何かは変わったことはあったとしてもはじめにそう言ってしまう。
実際なにが変わって、なにが変わってないのか全く分からない。
天気みたいなことなのか。
わたしの身体は。
晴れのち曇りのち雨のち曇りのち晴れのち晴れのち曇りのち雨のち雨のち晴れ
みたいに時間の区切りもなく、自由に変わっていく天気みたいなことなのか。
いつのまにか空が晴れていたり、いつのまにか風が強くなっていたりする。
そういうことがわたしの身体にも起きているのか。
何が楽しくて移り変わってるの。
おかしい、狂気だ。
ブーバーの我と汝を電車で読んでいた。
彼こそほんとうの神秘を知る人じゃないのか。
目覚めながら見る夢はどんな夢?
本当の世界。
きっと夢じゃない。
<あなた>との愛をはさんだ出会い。
<それ>との切っても切れない関係性。
人間の悲しい運命。
なんのためこの世界にいる?
京都でいろんなことをして本当に楽しかったけど、わたしは楽しい時は一番嘘つきになる。
本当のことは何も言えないまま笑っている。
何が本当なのか考えるのをやめたいくらい、考えて苦しんでいる。
こんなに孤独なら、なぜわたしを人の中に置いておくのか。
考えてる。
病院から今日は絶対にタクシーで帰ろうと思う。
あと、お風呂にもお湯を溜めようと思う。
貴族みたい。